Feel Labと灯りと

謙虚に、謙虚に。 13

 

”灯りを感じること”

私が何より大切にしているのが

”感じる”ということです。

 

照明プロダクトと向き合うとき、

光の効率や、明るさ、機能といった世間一般の良し悪しの指標からは

極力離れるようにしています。

 

 

プロダクトを使っていただく方の時間の過ごし方、

そこから生まれる感情、心地よさ、リズムなどに

フォーカスして灯りと向き合うようにしています。

 

革新性や、映像映え、キャッチーであるかなど

商売的に必要な観念からも極力離れるようにしています。

もちろん無視はできませんので、この辺は順序でいうと後回し。

 

乱暴な言い方かも知れませんが、こうした商売的に

不可欠な指標が先に立つと、プロダクトデザインは

内向きになって、結果、長く使えないものになってしまうと

思うからです。

 

  

 私は数年前までの20年近く、

某メーカーで新商品開発の仕事をしていました。

 

とても良い会社で、業績も好調でした。

私は恐らく恵まれていて、大きなチームを預けてもらい、たくさんのものを

作らせてもらいました。その頃の私は、会議もプレゼンも、プロダクトを全て数字と

関連させて、儲かる仕組みを見出し、人を説得し、

それを礎にプロジェクトを動かしていたように思います。

 

しかし、次第に心は乾き、酸素欠乏症の魚のようにいつも苦しくて、

口をパクパクさせながら、走り回るような毎日でした。

  

その時の自分には何が足りず、何が苦しいのかよく分かりませんでしたが

今ははっきりと分かります。

 

   

足りなかったのは、”感じる” ということです。

 

 

プロダクトの未来から逃げずに向き合って、

必要だと感じたものを、恐れずに表現するということです。

デザインを、その本質を、使う方のシーンを、時間を、感情を、未来を。

 

 

もちろん事業である以上、利益を上げることは不可欠です。

いっときの感情のたかぶりだけでは、思いを継続できませんし

本末転倒になってしまいます。

大切にしているのは順序であり、感じることから始めよう、ということです。

 

 

  

誰かが形にしたものやデザインをなぞらってもだめなんです。

それでは届かないのです。自分が感じなくては。心にバイブレーションを

起こさなくては。

 

 

一旦すべてを白紙に戻して、感じることからもう一度始めよう、

数値から離れ、ユーザー様とその未来に近づいていくデザインを

見出せるように努力しよう。

そういった思いからFeel Labという名を付け

デザイン活動を始めることにしました。

 

 

早いもので、山あいのこの地で4年の月日が経ちました。

今でも思いは変わっていません。

 

 

そろそろ、少しだけ書いてもいいのでは? と自分を励ましながら、

感じるということ、そしてFeel Labが目指す灯りのことを

書いていきたいと思います。