Feel Labと灯りと

ものづくりに対して 13

何かを作ってばかりいた。

 

 

少年の頃から

電子工作だの、木工・竹細工だの折り紙だの

とにかく手を動かすことが好き。

一番落ち着く時間。

 

 

工作本を擦り切れるほど眺めては、

とにかく片っ端から作っていった。

下手でもヨシ! とにかく作った。

 

ごくたまに、親父が褒めてくれた。

 

 

 

いつもナイフの傷が絶えず、指先はいつもカチカチで。

作り続けていると、皮膚が分厚くなって、カチカチになる。

ごつごつして不格好だけれども、自分の指先のこの状態が

何となく落ち着いて安心する。

 

 

デザインで生きている今も、指先はカチカチ(笑

 

 

学校を卒業して会社に入ってからは

図面と向き合う時間が長かった。

モノと関わりながらも、モノと距離を置いた時期だった。

その頃の指先はふにゃふにゃ。

 

 

 

工場や現場の作業者とのやり取りは稀にあり、

物に触れたり作業を観察したりする時間は貴重だった。

プロ達の作業を眺めながら、

これなら自分の方がうまくできるな、とか

年季が足りないよ、とか

随分穿ったものの見方をしていた頃だった。

(決して口にはしなかったけれど)

 

 

20年弱、デスクワークをしたのち

私は独立し、自分の工房を持った。

始めた、というよりは「戻ってきた」という感覚だった。

 

因みに、工房とアトリエは全て自作した。

会社勤めをしながら、週末毎に1年半かけて作った。

 

 

 

物は私を裏切らない。

作る物がうまくいかないとしたら、向き合い方が足りないか

物に対する愛情が足りないかのどちらかだ。

格闘していれば必ず答えが見えてくることを私は知っている。

 

 

どんなに時間が掛かってもいい。

その物が持つパワーと、魅力を引き出すことが

私の使命だし、それが私の幸せでもある。

 

 

人間関係は苦手。

 

 

照明をこよなく愛する私だけれど

それ以前にものづくりが好きなんだと思う。

作った物で人が喜んだり驚いたり和んだりするのが嬉しい。

 

 

デザインも設計も製造も

呼び方を区別しているだけで

大差はないと感じている。

スタートとゴールは一緒だから。

 

 

今日もカチカチの指先で

デザインをして

図面を描いて

木を削って

電工もやった。

時には鉄工もやる。nc切削などメカトロもやる。

レーザーもブラストも塗装もアルマイトもやる。

全てプロの仕事と自負している。

 

 

子供のころから使っているペンチやドリルがある。

天国へいった親父が使っていたトンカチも

いまだに使っている。切れなくなったのこぎりも

捨てずにとってある。

(因みに親父は40年間パンを作りつづけた職人だった)

 

 

 

今日も、ものづくりの時間を過ごすことができて

幸せだ。

 

 

明日も来年も10年後も、

派手さはなくともこれを継続していきたい。